ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感 (光文社新書)



ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感 (光文社新書)
ゲルニカ  ピカソが描いた不安と予感 (光文社新書)

商品カテゴリ:アート,建築,デザイン
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「肝心なのは作品を通して新たなあなたを見出してゆくこと」(本書「おわりに」より)

 ピカソの大作「ゲルニカ」を取り上げ、その制作過程や美術史における位置づけ、さらには美術にとってのオリジナリティとは何か、また美術というのは何のためにあるのか、といった幅広い視野にたって解析してみせた労作です。新書ですから200頁をわずかに超える程度の紙数ですが、深く歯ごたえのある書物を読んだなという印象が残る一冊です。

 私自身は今から6年前に絵画「ゲルニカ」をマドリッドで目にし、そして今年の夏、スペインの街ゲルニカへ旅するにあたって、あらためてこのピカソの作品について深く知りたいと思って手にしたのが本書です。

 学生時代に中野孝次の「ブリューゲルへの旅」を読んだときの印象になんとなく近い気がします。本書「ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感」も著者自身が自己というフィルターを通しながらひとつの作品を徹底的に味わいつくすプロセスを私たち読者は体験する、そんな読書経験をすることができるといえるかもしれません。
 そんなことを強く感じながら巻末にたどりついた時、いみじくも「おわりに」で著者自身がこう綴っているのに出会いました。

 「要するに、作品とは、あなた自身を映す鏡なのである。無意識のうちに、あなたはその作品に己の姿を映すことで、悲しい思いをしたり、感動したり、喜んだり、落ち込んだり、愛したり、憎んだりする。それは換言すれば、あなたを愛し、あなたを憎むことである。思惟を積み重ねてゆけばゆくほど、言葉を洗練させてゆけばゆくほど、あなたは新しいあなた自身を作品の中に発見する。」(218頁)

 さて、私自身はゲルニカをめぐるスペインへの旅を通して、どんな自分を新たに発見したのでしょうか。

「そして考えろ!」

ピカソの《ゲルニカ》を前にして、「居心地の悪さ」を感じる多くの方々に、本書を一読することをおすすめしたい。「反戦」の象徴としてのアクチュアリティに疑念を抱かずにいられない人も、作品のメッセージの曖昧さや難解さに戸惑いを覚える人も、描かれたイメージの造形的意義が掴めず困惑する人も、漠然とした不安を感じる人も…。

本書は、《ゲルニカ》の内包する多義性や重層性、作品を前にわたしたちが感じる「違和感」の起因するところを、多様なアプローチで暴いてくれる。とくに、制作過程をめぐるドキュメントとその分析、美術史的位置づけをめぐる章は、筆者の研究者としての豊かな経験と才学博通に支えられており、充実した美術史の講義を聴講した後のような読後感がある。さらに本書の真骨頂は、《ゲルニカ》をめぐってなされた今日的問題についての考察である。

《ゲルニカ》を前に「居心地の悪さ」を感受するとき、私たちはその感受性を持ち得ていることにまずは感謝すべきなのかもしれない。異質なものを前に、思考停止するのは簡単だ。しかし、「見ろ、逃げずに正視しろ、そして考えろ!」(本書より)。筆者の指摘するように、《ゲルニカ》がわたしたちにこう迫りくることによって愛すべき作品であるとすれば、本書は一枚の絵画を前に「考えること」の切実さと可能性を教えてくれる愛すべき本である。

「一枚の絵を考えること」は、すなわち「世界をよりよく理解すること」であるという筆者のことばは、本書に展開される豊かな思考に触れるわたしたちにとって、極めて説得力を持つだろう。これに触発された読者は、同じ著者による『20世紀絵画―モダニズム美術史を問い直す』と『逸脱する絵画』も併読されるとよいだろう。さらなる思考の深化をもたらしてくれるはずである。
一枚の絵画でこれ程語れる人はいない

幅広い知識と見識に裏打ちされた見事な分析力と文章力は凄い。
今までの常識や見方にとらわれずにユニークな視点で一枚の絵画をこれ程の内容を語る美術史家はいないと思う。 
新書を期待する。
ピカソのうしろの特等席

『ゲルニカ』の解説書と思わなくていいかもしれません。思い切って言ってしまうなら『ゲルニカ』を巡る物語。
他の方々が書いているように美術史の中での位置付けや他の名作との比較といった美術解説書的な内容もあるのですが、
前半の『ゲルニカ』が完成するまでを習作と一緒に追いかけていく部分はゲルニカと向き合うピカソの物語のようでした。
想像力を妨げない程度の説明と習作の図版のおかげで、『ゲルニカ』を完成させていくピカソの姿と頭の中を
うしろから見ているような感覚を味わえます。

普段は美術関係の本なんか読まないのですが、美術を意識しないでも読めてしまいました。
そんなわけで、美術に興味はあるけど「むずかしいかも」なんて躊躇している人には最適の入門書かも。
著者の芸術論が何よりも興味深い一冊

ピカソが「ゲルニカ」を描くに至る背景、そして描きあげるまでのプロセスをスケッチと共に追って説明している。

ただ、ゲルニカはピカソの代表作のように扱われているが、実際は様々な意味において異質づくめであるという。

ピカソのゲルニカは時に、観るものに生理的不快感を与える。
しかし、それは、人間精神の不安、絶望、愚かさ、恐怖を顕在化させる芸術の力であり、絵画の前にひとつの「ものそのもの」として実存し続け、醜い私達によりよく生きることを鼓舞し、促し続けている意味において、やはりゲルニカは名作だと著者は言う。

最後のまとめとして、「作品はあなた自身である」「一枚の絵を考えることは、世界をよりよく理解する事にほかならない」といった芸術に関する著者の考えが垣間見え、すばらしいまとめになっていると思われる。



光文社
20世紀絵画 モダニズム美術史を問い直す (光文社新書)
逸脱する絵画 (20世紀芸術学講義)
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ピカソの戦争 《ゲルニカ》の真実




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ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感 (光文社新書)




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